新宿で働く人材業界ビジネスマンのブログ

人材業界ビジネスマンの視点から、業界のこと、仕事のこと、キャリアのこと、健康のこと、ランニングの事など、忖度せず思いのままに綴っていこうと思います。※本ブログに記載の内容は私個人の私見であり、所属団体や会社の見解ではありません。

時給競争の本質⇒募集の為の時給設定ではなく能力が評価される世界を作りたい

今日社内であるプロジェクトのディスカッションをしていた時に、アルバイトの募集時給戦争の激化についての話題になりました。

 

我々人材業界自身が発表してますが、「平均時給」という指標を持ち出し、時給が高騰しています、というニュースが定期的に出ています。
そして、媒体を出しても応募が来ない理由として、時給設定の見直し、を提言する店長や媒体の営業マンも多いことだと思います。実際に、郊外に大型ショッピングセンターがオープンする際は、時給相場が100円~200円高騰し、地元の企業が苦労する、といった話もよく聞きます。

 


しかし、改めて考えてみると「募集時給」の平均をベンチマークする風潮はなぜでしょうか?

 


募集時給とは、現時点で人が不足している企業・店舗が外部に募集を出す平均の時給です。つまり人がいない会社が設定している時給設定とも言えます。逆に言うと、求人媒体に広告を出していない≒人の採用に困っていない会社の時給はその数値には反映されていないことになります。
こうなってくると、募集時給を上げる企業は、自ら負のスパイラルに陥ることになります。

 

募集企業が少し高めの時給設定をする

⇒平均「募集」時給が上がる

⇒その平均時給をベンチマークし企業が時給を上げる

⇒上げた時給が意味をなさなくなる

⇒また時給を上げないと応募が来なくなる

 


事業の付加価値生産性が上がり、貢献した労働者の報酬が上がれば、経済全体で見るとプラスの効用を生み出します。
しかし、提供付加価値が変わらずに、人件費という観点でコストが上がれば、結果として企業の競争力は削がれ、労働者に還元可能な富の原資は減り、結果的に社会的なコストが増大しマイナスの効用となります。


そもそも、アルバイトの場合、多くのケースで、正しいパフォーマンスの評価や時給への昇給の反映がされていることが少なく、募集時給=そのジョブの時間的金銭価値、と受け取られることが多いです。
これは、労働の付加価値ではなく、ジョブの委託コストを金銭報酬にするという考え方です。
しかし、アルバイトにおいても、労働の付加価値に報酬として報いる、という本来当たり前の考え方になってほしいと私は考えます。


例えば、居酒屋。

 

ジョッキが空になったタイミングを見計らってさりげなくお代わりを勧める、ファーストオーダーの時に本日のおすすめや旬の食材を提案できる、お客様の来店目的を見抜いて適切なコミュニケーションができる、

 

こんな優秀なホールスタッフと、

 

 

挨拶が機械的で、やる気なさそうな対応、メニューの知識も無く、臨機応変な気の利いた対応もできないイマイチなホールスタッフ

 


前者と後者では、労働の付加価値が全く違うにもかかわらず、今の世界観では同じ時給1000円かもしれません。

 

もし本当に事業貢献度が高いホールスタッフであれば、時給1500円を払っても良いかもしれません。


安易に高い時給で人を集めるのではなく、きちんと貢献した人を評価し、報酬が払われる、そんなPay for Performanceの概念が、アルバイト領域にも広がってほしいなと考えます。