新宿で働く人材業界ビジネスマンのブログ

人材業界ビジネスマンの視点から、業界のこと、仕事のこと、キャリアのこと、健康のこと、ランニングの事など、忖度せず思いのままに綴っていこうと思います。※本ブログに記載の内容は私個人の私見であり、所属団体や会社の見解ではありません。

【セミナー感想ブログ】NewsPicksアカデミアセミナー幕末史から学ぶサラリーマンの生存戦略(ゲスト:田端信太郎氏・伊藤賀一氏)

 

 

7/6金曜日に、NewsPicksアカデミアのセミナーに参加してきました!

 

newspicks.com

 

ゲストは、プロサラリーマンとして著名なスタートトゥデイの田端信太郎さんと、スタディサプリの人気講師の伊藤賀一さんです。

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テーマが

「幕末史から学ぶサラリーマンの生存戦略」

という事で、にわか歴史ファンとして、キャリア論と幕末史がどうクロスするのかをとても楽しみに参加してきました。

 

【伊藤さん講演パート要旨】

講師として、普段スライドなどは使わず、最近の先生はあまり板書もしないとのことで、スタンディングでスライド無しでのプレゼンスタイルでした。

 

現代と幕末の共通点:生まれた瞬間に人生が決まらない

 

江戸時代は、士農工商という厳格な身分制度でした。つまり生まれた瞬間に人生が決まっていました。

しかし、幕末でゲームのルールが変わり、人は生き方を探求し始めます。

したがって江戸時代までは「哲学」というものがあまり存在していませんでした。

 

伊藤さんは、下記の例を出して、価値観の変遷について話されていました

・江戸時代まで=「農民」という人生に生まれた(生まれた瞬間に決まっていた)

・幕末以降=農民の「家」に生まれた

・明治時代の旧民法=「家」制度があった

・戦後=「家」制度すらなくなった⇒みんな一代限りの「家」を自由に創る

(独身や夫婦だけ、子供、両親との同居など多様性が生まれた)

 

伊藤さんは普段学生に歴史を教えているのですが「歴史を学ぶ意味って何ですか?」と聞かれた時の答えとして

 

「いまここの価値観が絶対的なものではない」

 

という事実こそが学ぶ意義である、と答えるそうです。

価値観や倫理観は、時代によって変遷し、また歴史は繰り返す、とても興味深いですね。

 

【田端さん講演パート要旨】

 

Branding/Marketing=Story tellingである

これ、とても共感できるのですが、ブランディングやマーケティング、営業活動など、人の心を動かすためには、単なる説明や情報のアウトプットじゃだめで、ストーリーで伝えることが大事、というのが田端さんの大事にしていることだそうです。

 そして、歴史を学ぶ意義は、何百年も語られる面白いストーリーを学ぶことだと仰っていました。

 

History=His story

歴史というのは勝利してきた側が都合の良いように作ってきたものです。それぞれの時代において、いかに自分が正当な支配者なのかを語っています。その点を踏まえ「His story」と解釈すると、とても興味深いですね 

 

生きる=Make your own story

 

死んだ後にどう記憶されたいのか?

多くの人が、あなたがいてよかった、とポジティブに記憶されていたいと願うのではないでしょうか?

そういう生き方をするのであれば、いったい過去どんな人が記憶されてきたのか?ということを、「先行事例」として歴史に学ぶ価値があるのではないか?ということを提唱されていました。

歴史に名が残り、後世に語り継がれてきた人物たちの生き様に学ぶことはとても多いと感じます。

 

歴史の転換期=約80年サイクルで変化 

 

例えば、

明治維新 1868年

太平洋戦争終戦 1945年

と世の中の価値観を変える出来事が、80年ぐらいのサイクルで起きています。

 

そして上記に80年を足すと、2025年

2020年の東京オリンピック終了後に、もしかすると歴史の大きな転換期が待っているかもしれません。

言わずもがな、テクノロジーの発展や地政学的な大国間のバランスの変化、新興国の台頭、東京オリンピック以降の国内需要の減少、労働力の大幅不足による機械化の促進、自動運転技術、などなど、様々な複雑な要因での変化の波が起ころうとしている気配を感じます。

 

変化の時代に必要なのは「大局観」と「大儀」である

 

かつて、西郷隆盛と勝海舟の会談では、倒幕で圧倒的優勢であった薩摩側が、「江戸はパブリックなものである」という美意識・価値観・大局観から、勝海舟に全て委ねる、という西郷の懐の深い行動が有名です。

また、薩長同盟が形成された時も、仲の悪い2つの藩を取りまとめたのは、TOP同士ではなく、若い藩士、会社でいう部課長クラスが大儀をもって取り組んだ成果です。

逆に、新選組の土方歳三は、幕府に忠義を尽くすという大義を全うし、徳川家が白旗を上げてなお、函館の五稜郭で最後まで戦い抜きました。

 

変化の時代において

 

大局観:物事の大きな流れを見通す力

 

大儀:自分は何に忠を尽くすのか?

 

この両方が必要になってくる、というのが田端さんの伝えたいことの様に感じました。

 

 

【対談パート】

かなり話が広範囲に渡り、盛り上がっていました。

その中から、私が個人的に面白かったものをピックアップしてお伝えします。

 

 

・伊能忠敬の地図の作成は50歳を過ぎてから!

当時の50歳といえば、現代でいう80代ぐらいの感覚です。

その高齢な時に、あらたに測量を学び、全国を旅して地図を作成した、そのアントレプレナー精神に感銘を受ける、というお話。田端さんは「Never too late」(遅すぎることはない)という表現をしていました。

 

・日本独特のリーダーシップスタイル:総大将は何もせずただどっしりと座っている

日本にありがちなリーダーシップとして、No.2が実務に動いて、総大将はどっしりと座っているのが美徳とされている、という特徴が離されていました。

その表れとして、世界でも類を見ない、天皇家というたった一つの家系による長きにわたる支配構造なども挙げられ、権限移譲がしっかりとされるからこそ、部下に恨まれずに下克上が起きにくい構造になっている、なんていう話にも。

逆に、例えば外資系の企業なんかでは、気に食わない上司は部下がさらにその上の上司に密告などをして排除してしまう、なんていう下克上が日常茶飯事、という文化的な差異も指摘されていました。

 

・薩英戦争に学ぶ、「五分に渡り合う」重要性

かつて生麦事件への報復としてイギリスに攻められた薩摩でしたが、圧倒的な軍事力の差異を前に、一歩も引かず、全力で抵抗をしました。結果、当時最強クラスのイギリス海軍に対しても一矢報いることができ、その力をイギリスが認めたことで、その後倒幕への後押しとなるイギリスとの良好な関係性が築けたのです。

これは、相手に最初から迎合するのではなく、大儀に反することに対しては徹底的に抵抗することの重要性に通じ、抵抗しなければ蹂躙されるのが世の常、であることを教えてくれているという話になりました。

 

例えば、取引先との価格交渉や、他部署との交渉ごとなど、ついつい下手にでてしまうことが習慣になってしまっていると、気が付けば蹂躙されているかもしれませんね

 

どんなにやんちゃに仕事をしていても「殺すには惜しい人材」になっている、現代風に言うと「首にするには惜しい人材」になっておくことで、どんな立場からも重用される存在になることができるかもしれませんね。

 

 

 

振替って観て、非常に面白い講演と対談でした。

事実は小説より奇なり、と言いますが、歴史や起業家のストーリー、私の履歴書、などのノンフィクションのストーリーは、人間味があふれていて妙に生々しく、個人的にとても引き込まれます。

自分自身が為すべきことを為すために、どんな大義(価値観)を抱き、戦い抜くのか。

 

幕末や戦後の高度経済成長といった近代日本の大きな転換点に学べるポイントはまだまだたくさんありそうです。

 

どんな強い相手にも五分で渡り合える人材を目指して、日々精進していきたいと思います。