「バイト君紹介したら2万円」に感じた違和感
先日の朝方、とある駅前の飲食店の前を通りがかった時に、でっかい貼り紙がしてありました。
「バイト君 紹介してくれたら2万円差し上げます」
皆さまご存知の通り、世の中は今空前の人手不足。
特に、飲食サービスの人手不足は顕著で、
東京労働局のHPのデータによると
最新の「接客・給仕の職業」の有効求人倍率(求職者一人に何件の求人があるか)の数値は、
なんと10.47倍!
出典:東京労働局 職業別有効求人・求職状況(常用的パート平成30年度3月分
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-hellowork/content/contents/000215852.pdf
つまり、飲食店10.5軒に一人しか求職者が存在しないという、
熾烈な採用環境です。
私も長く外食業界を担当していますが、東京都心部、特にオフィス街立地の店舗などの採用は本当に苦戦されている企業様ばかりです。
きっとこの飲食店も、バイト募集の張り紙を出しても、求人媒体に広告を出しても全く応募がなく、
ほとほと困り果ててこの様な張り紙を出されていることは、容易に想像がつきます。
ただ、私はその張り紙を見た時に、とても違和感を感じました。
「バイト君 紹介してくれたら2万円差し上げます」
「バイト君」
「・・・」
この表現からは、なんとなく、ですが、その昔の丁稚奉公の様な小間使いの様なニュアンスを感じずにはいられません。
(気にしすぎでしょうか?)
愛嬌がある表現という感じだと思うのですが、何となく、腑に落ちない。
私は1社目、アルバイトから続けたあるファストフードの企業に勤めていましたが、
マネジメントのカリキュラムで最初に教わったこと、
それは
アルバイトスタッフは「内部のお客様」である
ということです。
アルバイトにやりがいや充実感を感じる→お客様や仲間にもフレンドリーに接する様になる
→仕事の生産性が上がる→お客様の満足度が上がる→売上・利益が上がる
という単純だけどマネジメントをする人の原則を学ぶのです。
この貼り紙を見た「バイト君」はどう思うんだろう、と。
素直にそんなことを考えてしまいます。
また、もう一つ違和感を覚えたのが「2万円差し上げます」の部分。
あなたが街中を歩いていたとします、急に知らない男が声をかけてきました。
「彼女が欲しいんで、紹介してくれないですか?もちろんお礼はします。2万円差し上げます。
お願いします」
どう思います??
きっと
(おまえ誰やねん!?)
とか
(うわ、変な人)
とか
(そんなお金渡すほど困ってるんだ、というかよく知らない人に紹介するわけないだろ!)
って、反応かと思います。
この貼り紙は、きっと藁をもすがる思いで書いていることは伝わってきます。
でも、困っている時こそ、冷静に立ち止まって考えていただきたいのです。
なぜ、バイトが集まらないのか?なぜ、バイトが辞めてしまうのか?
素敵な職場と就業体験が一つでも多く生まれることを願って、
これからも人・組織の課題に向き合っていこうと強く感じたとある朝でした。