新宿で働く人材業界ビジネスマンのブログ

人材業界ビジネスマンの視点から、業界のこと、仕事のこと、キャリアのこと、健康のこと、ランニングの事など、忖度せず思いのままに綴っていこうと思います。※本ブログに記載の内容は私個人の私見であり、所属団体や会社の見解ではありません。

外国人雇用拡大ってそんな簡単じゃないよねという話

昨日5月30日、こんなニュースを日経が報じました。

外国人、単純労働にも門戸 政府案「25年に50万人超」 /日本経済新聞2018年5月29日
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31103490Z20C18A5MM8000/


2025年に建設・農業を中心に、50万人を超える就業者を受け入れていく方針とのことです。

パーソル総合研究所の予測によると、2025年には国内で583万人の労働力が不足すると言われています。

労働市場の未来推計2016 | パーソル総合研究所

 

その解決策といわれているのが、
・生産性向上
・女性活躍
高齢者活躍
そして

外国人労働者の雇用拡大
です。


外国人労働者拡大の課題


近年、都市部の飲食店やコンビニなどに行くと、店員がほとんどベトナム人、ネパール人、といった光景も全く珍しいものではなくなってきました。それだけ、日本人の雇用がとても難しくなっているということの証左だと思います。
ただし、個人的には、「外国人をただ単に日本人の労働力の代替とする」という考えには、やや疑問です。

 

私の友人の、ベトナムで日本向けの留学斡旋業を営んでいる方から聞いた話です。
外国人留学生の多くは語学留学で、現地で大学を卒業したうえで、日本に1年~2年語学留学という名目でVISAを取得し、来日します。
VISA取得や語学学校への入学、現地での住宅の手配なども含め、こうした留学斡旋の業者を頼ることが多いそうです。

 

しかし、中には悪質な業者もいるようで、学生から高額な費用を受け取り、斡旋。現地の語学学校も授業実態は無く、仕事をただ紹介するだけ。(中にはバイトの斡旋で稼ぐ学校もあるとか)
日本で働けば稼げる、という謳い文句につられた学生が日本に行ったものの、週28時間という留学生の労働制限で稼げる額は微々たるもの。日本での高額な生活費を工面するとほとんど実家に仕送りができず、やむなく違法な28時間を超えた就労に手を染める。
そうしているうちに、高度な日本語も学べないまま、当局の摘発を受け母国に帰らなくてはならなくなってしまう。


実際に、あの有名なラーメンチェーンの「一蘭」でも、留学生が28時間を超えて就労し社長や店長らが書類送検される事態も起きています。企業側にも外国人雇用の法規を正しく理解し、管理する責任があります。


文化の理解や外国人特有のマネジメントも必要

 

また、労働法規や違法就労の問題だけでなく、現場のマネジメントにも日本人とは異なる配慮が必要です。

先日ある外食企業の人事役員の方がおっしゃっていたのは、例えばキッチンの仕事で「塩」という単語がわからない従業員に、「塩取って」と店長が声をかけても通じないので、塩の容器に英語のラベルを貼る、というような小さな工夫が現場でストレスになっている、というお話を伺いました。


また、宗教への配慮も必要です。

あるチェーンでは、イスラム教の留学生のために、ヒジャブ(イスラム教の女性が被る頭を覆う装具)に対応した制服を特別に開発したそうです。


そして、国民性によっては注意の仕方も気をつける必要があります。例えば、フィリピン人の方はみんなの前で注意を受けることを名誉を貶められたと感じ、かなり反感を抱いてしまうため、何か指摘を行う場合は、個別に呼んで注意をする必要があるそうです。


外国人雇用の拡大のためには、受け入れる側の環境の整備や、実態に即した法整備の見直し、またマネジメントの体制などが同時に議論されないと不幸な事例が後を絶たず、結果として日本という国のプレゼンスを貶めることになると思っています。

今後ますます外国人雇用が増えていくと思われますが、人材業界としても、この問題に取り組んでいかなければと思います。