新宿で働く人材業界ビジネスマンのブログ

人材業界ビジネスマンの視点から、業界のこと、仕事のこと、キャリアのこと、健康のこと、ランニングの事など、忖度せず思いのままに綴っていこうと思います。※本ブログに記載の内容は私個人の私見であり、所属団体や会社の見解ではありません。

「難民ビザ」取得申請が増えている?という日本の外国人労働の法規制の建前と矛盾

6月6日(水)のNHKクローズアップ現代+で、「難民」申請が増えているという番組をやっていたので、全編興味深く視聴しました。

 

 

www.nhk.or.jp

 

 

「難民」の申請が増えている背景は、外国人労働者の就労資格問題です。

通常、外国人には様々な就労制限が存在し、一定の資格が無いと日本国内で労働することはできませんし、その就労には職種制限や期間制限、週の労働時間など様々な制約が生まれます。

 

厚生労働省/日本で就労する外国人のカテゴリー

www.mhlw.go.jp

 

しかし、例外が存在し、「難民」として入国管理局に申請をした場合、その審査が行われている間、特別に就労することが例外として認められるそうです。また、再申請を繰り返すことで、2年半ほどは日本に滞在・就労が認められるとのこと。

「難民ビザ」外国人労働者の間で呼ばれるこの裏技が広がり、日本における「難民」の数は倍々ゲームで増加傾向とのことです。

 

番組中では、東海圏で「難民ビザ」を持つ外国人を製造業を中心に派遣する人材派遣会社や、「難民ビザ」を持つ外国人を雇用する、トルコ人の建設会社社長なども登場。彼らは異口同音に「働きたい人と、人手不足の業界がマッチングすること」の正当性を語っていました。

 

 

見え隠れする日本政府の本音と建前

 

 

 

 

こうした事態を受け、入国管理局では、本来の難民申請の法的意義を逸脱しているとして、審査結果を簡易審査で早め、就労目的での難民申請を減らそうという動きが出ているそうです。

一方で政府は、外国人労働者の雇用拡大に向け、就労資格の緩和を少しずつ実施しています。

 

 

外国人、単純労働にも門戸 政府案「25年に50万人超」 /日本経済新聞2018年5月29日(有料記事)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31103490Z20C18A5MM8000/

 

 

外国人労働者の雇用拡大には、色々な意見があることは承知していますが、現実に日本は空前の人出不足です。難民申請が増えるという矛盾をはらんだ実態に即していない労働規制について、そろそろ抜本的な見直しが必要ではないでしょうか?

 

 

以前の記事で、外国人雇用拡大の課題を挙げました。

yusk-d.hatenablog.com

 

 

しかし、逆に言うと、今だからこそ、外国人を受け入れやすい文化や環境に日本国内が変わるチャンスであるとも考えています。もしこのまま労働的鎖国な状態が続くと、日本はますますグローバル化の中から取り残され、優秀な新興国の人材はそのうち日本に見向きもしなくなる可能性があります。

  

HR業界の人間として、この分野の動向はしっかりとキャッチアップしていきたいと思います。